【注意喚起】空き地・公園・庭で見かけるアレチヌスビトハギ|服にくっつく厄介な雑草にご注意を

アレチヌスビトハギアイキャッチ画像

最近、公園や空き地、ご自宅の庭で、小さな豆のような種がズボンや靴にびっしりとくっついて困った経験はありませんか?

その種の正体は「アレチヌスビトハギ(荒地盗人萩)」という雑草かもしれません。

この草は、一見すると地味ですが、種の付着力が非常に強く、知らないうちに人や動物を通じてどんどん広がってしまう非常に厄介な植物です。

私たち庭師の現場でも、この草に関する相談や駆除のご依頼が増えています。

この記事では、そんなアレチヌスビトハギの特徴や見分け方、放っておくとどうなるか、対処法と再発防止策を現場での実体験をもとにわかりやすくお伝えします。

アレチヌスビトハギとは?

空き地・庭・公園で増える外来雑草

アレチヌスビトハギ

アレチヌスビトハギは北アメリカ原産のマメ科の多年草で、日本には1970年代以降に広がった外来植物です。

7〜10月にかけて花を咲かせ、小さな紫色の花と、ひっつき虫のような種子を大量につけます。

・公園の植え込みや遊歩道のすみ
・人の出入りがある空き地や畑の周辺
・庭の外構沿いやあまり手入れされていない場所

こういった場所を起点に、どんどん繁殖していきます。

名前に「ハギ」とある理由

見た目が在来のハギに似ている

アレチヌスビトハギ(荒地盗人萩)という名前からも分かるように、この雑草は日本の在来植物「ハギ(萩)」に姿かたちがよく似ています。初めて見た方が見間違えることも珍しくありません。

【ハギとは?】

「ハギ(萩)」はマメ科ハギ属の多年草で、秋の七草のひとつにも数えられる日本を代表する野草です。

  • 秋になると紅紫色の花を咲かせる
  • 茎は細くしなやかに垂れる
  • 自然な風情があり庭園や公園でも使われる

【アレチヌスビトハギとの違い】

花期8〜10月7〜10月
大きく華やか小さく地味
細長くしなやか丸みがある三出複葉
立ち上がる・垂れる地面を這うように広がる
付着しない衣服にくっつく

名前に“盗人”と付くのは、知らぬ間にこっそり入り込み、種をばらまく様子からと言われています。

アレチヌスビトハギの厄介な点

【1】服や靴にびっしり付く種

種子は小さなカギ状になっており、ズボン・靴・軍手・ペットの毛などにびっしりくっつきます。

気づかないうちに庭や他の場所へ運んでしまうため、被害が拡大します。

アレチヌスビトハギがズボンにくっ付いた様子

【2】地下に伸びる芋のような根

地上部を刈り取っても、地下に残った根(地下茎)から再生します。根が硬く、ペンチで掴んで抜かないと取りきれないほどしぶといのが特徴です。

庭師が行っている実際の対処法

  • 小型スコップで根の周囲を崩す
  • ペンチやねじり鎌で地下茎を掴んで抜く
  • 引き抜いた草はそのまま放置せず袋に入れて廃棄
  • 種ができる前(7月頃)に早期対処が有効

【服に種がつかないための工夫】

雨カッパなど表面がツルツルとしたビニール系の服は、種が引っかかりにくく非常に効果的です。

ジーンズや軍手は避け、作業後は玄関前で服や靴を確認しましょう。

アレチヌスビトハギの種が付きにくい服装

除草剤は使える?|効果とリスク

グリホサート系の除草剤(ラウンドアップ等)は有効ですが、

  • 庭木や芝生にも薬害が出る可能性
  • 地面が裸地になると「イシクラゲ」が発生することがある
  • 土壌が劣化しやすくなる

といったリスクもあります。使用は限定的な範囲にとどめ、できればペンチで根を抜くなど物理的除去を基本としましょう。

種の拡散を防ぐために

  • 作業後の服・靴を玄関でチェックする
  • 種が付きにくい服装を選ぶ(ビニール系など)
  • ご近所の空き地・公園にも繁殖していないか確認
  • 境界沿い・外構まわりの定期的な巡回が効果的

見かけたら、早めに対応を

アレチヌスビトハギは、一度広がると抜いても抜いても出てくる厄介な雑草です。

種が服に付きやすく、地下茎が再生力を持っているため、

  • 早期発見・早期駆除
  • 種の拡散を防ぐ服装・行動
  • 安易な除草剤使用のリスク意識

この3つを意識することで、被害を最小限に食い止めることができます。

最後に

この雑草の拡散は、公園や空き地など公共の場所から始まることもあります。

一人ひとりの意識が、庭や地域の景観を守る第一歩です。ご近所やご家族とも、情報共有していただければ幸いです。