はじめに
庭に生垣をつくろうと思ったとき、「どんな木を選べばいいのか」迷う方は多いと思います。
すぐに隙間が埋まってくれると見た目は整いますし、虫がつきにくくて手入れも簡単なら理想的です。
とはいえ、木にもそれぞれ性格のようなものがあります。「成長が早い=楽」とは限りません。
この記事では、実際に庭づくりの現場でよく使われる庭木をいくつか紹介しながら、長く付き合っていくために知っておきたいポイントをまとめました。
成長が早い木の落とし穴
「早く隙間を埋めたい」と思って、成長の早い木を選ぶことはよくあります。たしかに見た目は整いやすいのですが、その後剪定が頻繁に必要になったり、病害虫が発生しやすくなったりと、手間がかかるケースも少なくありません。
特に枝葉が込み合ってくると、毛虫の発生や風通しの悪化から病気につながることも。
見た目と管理のしやすさ、その両方をバランスよく考えるのが大切です。
成長が穏やかで管理しやすい庭木の例
🌲 ラカンマキ(イヌマキの園芸種)

- 成長が緩やかで、年1〜2回の剪定で形が整う
- 暑さや寒さにも強く、病害虫の被害も少なめ
- 外からの目隠しとしても十分な密度を保てる
- 庭に自然になじむ上品な印象の常緑樹
✍️ 専門家の一言:
「派手さはありませんが、“静かにいい仕事をする”木。生垣にぴったりです。」
よく使われる庭木と特徴・注意点
🌳 レッドロビン

- 赤い新芽が特徴で、見た目が華やか
- 成長が非常に早く、年に数回の剪定が必要
- 毛虫がつきやすく、うどんこ病や炭疽病の心配も
🌳 ウバメガシ

- 刈り込み仕立てに向く、丈夫な常緑樹
- 葉が厚く密なので、目隠し効果が高い
- 風通しが悪くなると虫が出やすいことも
🌳 プリペット(西洋イボタ)
- 洋風の庭にも合い、白い小花が咲く
- 成長がとても早く、年に何度も枝が伸びる
- 剪定をさぼるとすぐに樹形が乱れてしまう
🌳 シラカシ

- アラカシよりも成長はおだやかで樹形が整いやすい
- 落ち着いた印象の生垣にしたいときにおすすめ
- ただし、毛虫・アブラムシなど虫害が発生しやすいため、春〜夏の見回りが必要
🌳 トキワマンサク(赤花・白花)
- 常緑で細い葉と、フリル状の花が特徴
- 春に赤や白の花が咲き、柔らかな印象に
- 成長はやや早く、枝が暴れやすいため年2回程度の剪定が望ましい
🌳 カイズカイブキ

- 青緑色の葉とねじれた樹形が個性的
- 成長はゆっくりで、剪定の回数は少なめ
- ただし、強剪定で“先祖返り”してトゲトゲの葉が出ることがある
- 道路側に張り出しやすいため、控えめな剪定が基本
🌳 キンモクセイ

- 秋に甘い香りの花を咲かせる常緑樹
- 成長は比較的早く、放っておくと横にも縦にも広がりやすい
- 花期以外は地味だが、葉は密で目隠し効果が高い
- 毛虫がつくことがあるため、定期的な剪定と消毒管理が必要
✍️ 現場からの感想:
「香りを楽しみたい方にはいいですが、花が終わった後の管理は案外大変です。」
早見表:それぞれの木をくらべてみる
木の名前 | 成長スピード | 病害虫の発生 | 剪定の手間 | 印象・雰囲気 |
---|---|---|---|---|
ラカンマキ | 穏やか | 少ない | 少なめ | 上品で落ち着き |
レッドロビン | 非常に早い | 多い(病虫害) | 多め | 明るく洋風 |
ウバメガシ | やや早い | やや多い | 普通〜多め | 密で重厚感あり |
プリペット | かなり早い | 普通 | 多め | 柔らかい印象 |
シラカシ | 中程度 | やや多い(虫) | 普通 | 和風・自然風 |
トキワマンサク | やや早い | 少ない | 普通 | 花が映える |
カイズカイブキ | 穏やか | 少ない | 少なめ | 個性的な樹形 |
キンモクセイ | 早め | やや多い | 普通〜多め | 香りと密度重視 |
よくあるご質問(Q&A)
Q. 剪定が少なくてすむ木は?
A. ラカンマキやカイズカイブキは成長がゆるやかで、剪定の手間が少なくて済みます。
Q. 虫がつきにくい木は?
A. カイズカイブキやラカンマキは比較的虫がつきにくい木です。キンモクセイやシラカシはやや注意が必要です。
Q. 花を楽しめる生垣はありますか?
A. トキワマンサクやキンモクセイは花が楽しめますが、どちらも剪定や病害虫管理が必要な木です。
まとめ
生垣は「目隠し」や「境界」の役割だけでなく、庭全体の印象を決める大切な存在です。
長く付き合う木だからこそ、見た目の好みだけでなく、成長や管理の手間、病害虫のリスクまで含めて選ぶことが大切です。
「後から手間がかかる」と感じることのないよう、こうした特徴を知ったうえで、自分の庭や暮らしに合う木を選んでいただければと思います。